8割のマネジャーがつまづく「行動ルール」の設定
壁マネジメントを行うにあたって、はじめに行うことが行動ルールの設定です。
壁マネジメントでは、一度に多くの行動を部下にやり切らせることはしません。なぜなら指示する行動だけが多くなり、その後のフォローがなければ逆効果になってしまうからです。
ですので、成果を出すために必要な行動を1つ、行動ルールとして設定します。そしてそのルールに対しマネジャーは漏れなく介入を行います。これが壁マネジメントの基本の流れになります。
しかし、はじめて壁マネジメントを行う方の約8割がこの行動ルールの設定でつまづいてしまいます。
ルールと目標を混同していませんか?
こちらは壁マネジメントに取り組んだ方がはじめて設定した行動ルールの一例です。
- 月間見積もり20件獲得
- 不良品の発生率を3%以下にする
- 毎日、20時退社を組織で徹底する
これらの行動ルールを見て、あなたはどう感じましたか。 「数字で定量表現しているからわかりやすい」「目指すべき姿が明確になっている」「よくある目標だよね」……など
実は、壁マネジメントでこのような行動ルールを設定すると、動かない部下を生み出す原因になってしまいます。
「どういうこと?ちゃんと目標も分かるルールになっているのに……」と思ったかもしれませんね。
どこに問題があるか、すこし考えてみてください。
行動ルールと目標は別物?!行動ルールは「誰でもできる」がキーワード
- 月間見積もり20件獲得
- 不良品の発生率を3%以下にする
- 毎日、20時退社を組織で徹底する
この3つのルールの共通点。それは、行動ではなく、目標がルールとして設定している点です。
見積もりの件数や不良品の発生率、残業時間の削減といったものは、何かの行動を行った結果現れる成果です。つまり、壁マネジメントで達成すべき目標(成果・ゴール)として設定するものです。
このようなルールを行動ルールとして設定してしまうと、成果に繋がる行動が何かわからない人は、やり切ることができません。
その結果、組織内にルールを守れない人を生み出してしまいます。
この状態が蔓延すると、ルールを守らなくても大丈夫をいう空気が組織にできてしまい、成果を繋がる行動を知っていて目標を達成した人もルールを守らなくなってしまう恐れがあります。
誰もがやり切ることができる、正しい行動ルールとは?
では、組織の全員がやろうと思えばやり切れる正しい行動ルールとはどのようなものでしょうか。
こちらの例をご覧ください。
不良品の発生率を3%以下にした行動ルール
工場の生産ラインでの不良品の発生率が一桁後半であった組織のマネジャーが取り組んだ壁マネジメントの一例です。
マネジャーはまず、現状把握のため各ライン・各作業員の状況・行動をモニタリングしました。そこで見えてきたことは不良品の発生率が低い作業員は作業前に必ず「工具に油をさして」いたのです。
この「工具に油をさす」という行動は、作業員であれば誰でもできます。
そこでこのマネジャーは作業前に必ず工具に油をさせば、不良品の発生率は下がると仮定し、この行動をルールとして設定しました。やろうと思えば誰もがやり切れる行動ルールですので、部下は行動しなかった時に言い訳することができません。
この行動を組織にやり切らせたことで、不良品発生率を3%以下にするという目標を達成しました。また、組織内にルールを守れない人を出さなかったことで、部下全員が行動する空気が自然と組織に定着しました。
誰でもできる行動を設定
行動ルールは、誰でもできる行動をルールとして設定します。そして設定した行動ルールをやりきった結果、得られると想定するものが目標(=成果)です。想定した目標が達成できない場合は、成果が得られるまで行動ルールをブラッシュアップしていきましょう。